天地無用

なんでもアリ・様々なテーマで綴るコラム亜空間。

トイレの大冒険

 このネタは綺麗な心で書いていると筆者は誓えるが、扱うネタはタイトル通り汚い。お食事中に読まれている場合は、即刻戻るボタンを押して、メニューに戻って欲しい。またこの文章には説明のため、やむを得ずトイレに関する写真なども含まれている。汚れた便器及び関連写真など見たくない方も同様である。写真を見て不快な思いをされても、筆者は何も補償できないので各自の責任でお読みいただきたい。


 筆者は都内某所のマンションに30年近く住んでいる。当然家の中はいたるところ傷み、汚れてくる。筆者は清掃や家庭大工を趣味としているので、知的好奇心の充足、並びに作業没頭による快感が得られる格好のネタが多数存在する。(よって今後の当コラムにはそのようなネタが多数出てくるであろう。)しかしながら、それでもあまり触れたく部分としてトイレがある。今回はものぐさな家人の要請に応え、トイレまわりの清掃を手がけることにする。

 トイレというスペースは、汚れるの好(?)条件の揃ったスペースである。当然排泄物自体の汚れとともに、水まわりであるため水アカなどがつきやすい。割合綺麗な水を扱う風呂や洗面所でも、わずかな時間ですぐに汚れが目立ってくるわけであるから、トイレは更に気を使わねばなるまい。

 実は筆者も汚れは気になっていた。しかし家人も掃除はサボっていたわけではないらしい。使用している洗剤を見てみると、中性タイプの洗剤である。においがきつくなく、パッケージも爽やかな印象を与えているあたりなど主婦・女性に好感をもたらすのかもしれないが、経験上効力は今ひとつである。知り合いのプロに聞くと、古いトイレ洗浄には塩酸が一番とのことであるが、薬局に印鑑を持っていかなければならないし、扱いに気を使うし、煙も発生する。まずはサンポールで試して、ダメなら塩酸を入手しよう。

 近くにあるMKヨシに行くと、一番奥に洗剤が並ぶが、いくら探してもサンポールが無い。並んでいるのは中性タイプのものがメインである。昔からの定番商品だし無いはずは無いと店員に確認するが、答えは扱っていないとのこと。MKヨシは今やターミナル駅の好立地に必ずといっていいほど出店し、若い女性を中心に顧客を集めているが、店頭に並ぶのは特価品のシャンプーなどのヘアケア商品などファッション性があるものが中心で、筆者の目から見ると生活必需品を扱う店にしては生活感が無いと思っていたが、扱いアイテムも徹底されている様でなるほどとうなずける。余談になるが、筆者の地元は薬局天国で、駅周辺にMKヨシのような有名店をはじめ大小の店がひしめきあっており、ざっと数えても数十店はある。これらは店頭の客引き特価アイテムの傾向や、客層などから生活感のあるタイプ、無いタイプに色分けされる。一応実証のため生活感の無いタイプの店に入るが、やはりここでもサンポールは無かった。生活感のある医薬品、洗剤などを購入する時は、このような店は避けたほうがタイムロスがなさそうである。3軒目は生活感のありそうなM千里薬局を選び、ようやくサンポールを入手できた。(まわり道をしたが、トイレの写真を下方に隠す意味もあるので許して欲しい。)


 さて無事にサンポールが入手できたところで、我が家のトイレの状況について説明しよう。我が家の恥をさらすのは誠に恥ずかしいが、サンポール効果実証のために写真を掲載する。清掃前は斯様であった。


 写真にとるとかなり汚いが、家人も掃除をさぼっていたわけではなく、中性タイプの洗剤を使用し、世間なみには清掃していたらしい。しかしながら30年近くも同じ便器を使用していると、傷も多数できており、汚れもつきやすくなっている。自分も中性タイプの洗剤を投入し、力をこめてブラッシングしたが、汚れはビクともしなかった。次にサンポールの登場である。本体には塩酸9.5%とあるので、とりあえず景気よく1/3ほど投入し30分放置した。結果泡が多数立ち中が見えないが、力をこめてブラシでこする。そして水を流すと…。



 ご覧のとおり見事綺麗になっている。効果が無い洗剤は見限り、酸性タイプの洗剤を利用することを勧める。また塩酸を利用するのも効果的と思われるが、どちらも他の洗剤と混じったり反応すると、有毒ガスが発生する。利用するときには不要な洗剤分は流し、換気に注意して行う必要がある。


 さて話はまだ終わらない。実は30年近くも使っていると、気のせいか水の流れが悪くなってきた気がする。表面は見事に綺麗になったが、隠れた部分が気になる。隠れた部分の先には、トラップがせりあがり、流したものが逆流しないような仕組みになっている。最初の写真のヨゴレが、トンネル内部にも続いているとしたら、相当なことになっているだろう。恐る恐る調べてみることにする。

 手袋ごしにトンネル入り口を確認すると、陶器とは明らかに違う感触が感じられた。陶器全体を堅い層が覆っているようである。ドライバーを用い、力の入れやすい底の部分から層を剥がしにかかる。まるで岩肌のような堅い感触であるが、ドライバーがひっかかる場所を探す。そして力を入れる。岩盤が剥がれそうな手応えを感じ、さらに力をこめてドライバーを押し込むと、ガクンと軽くなった。剥がれたようだ。おそるおそる、しかし興味半分で剥がれた物体を取り出す。するとなんと、かなりの大きさの岩盤状の固まりが確認された。



どうみても岩である。祖先は排泄物と思われるのに、不快な臭いはそれほどしない。筆者はこれをトイレ岩と命名し、以降の削岩に全力を傾けることを決意した。こんなものがトンネル壁面を覆っていたら、水の流れが悪くなるのは当然である。再度トイレ岩削岩作業にとりかかり、底面より左右壁面、上部壁面と30分程度掘削を行った。固まりが途中詰まっては元も子もないので、発掘したトイレ岩は全て丁寧に回収する。その結果かなりの量のトイレ岩が確認された。下の写真を見てもおわかりのように、小石の混じった土石のような状態である。



まさか自宅で岩石採掘が行えるとは思えなかった。狭い空間での削岩作業はこんなを極めたので、二度と行わなくて良いように、今後は定期的に塩酸を流してみたいと思う。あなたのお宅のトイレは大丈夫であろうか。万一岩石が発掘されても、塩酸等薬品成分が含まれている可能性があるので、庭石や植木等に利用しないように。(でも燃えるゴミでよいのかな?)

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