KODAK DC280J FROM:1999 8 2.0 mega pixel digital camera
ホームページ用の画像撮影と、銀塩写真からの脱却のため、ずっとデジタルカメラを物色してきたが、ようやく妥協点が見つかった。'99年7月に発売されたKODAKの200万画素デジカメ DC280Jである。購入までの道のりや使用レポートをまとめてみた。

KodakのDC280Jのページ
http://www.kodak.co.jp/digital/dc280j/

これまで使ってきたカメラ
筆者はカメラ及び撮影技術にさほどこだわりが有るわけでは無く、そこそこ見られる絵が収まれば良いと思っているレベルである。専門的な解説ができない弁明のためにも、参考としてこれまで使用したことのあるカメラ類を以下に記しておく。

コニカ 現場監督
初めて購入したオートフォーカスカメラである。大学生の時分購入した初代モデルであるので、もはや10年近くが経過している。G−SHOCK的なデザインで、とにかく頑丈でタフなのが売り。デカくて重いが、ケースもいらないし、レンズも丈夫でキャップさえも無い。鞄からさっと取り出し、すぐに撮影できる操作性は快適。完全防水ではなく日常生活防水であるが、雪山で濡れたグローブで操作しても問題は無い。ゴムコーティングされた大きめのシャッターボタンのため、グローブや軍手をしたままでもシャッターが押せるのだ。撮影日付が入らないのが唯一の不満。日付も入らず、ズームも無いが、シンプルな構造のため壊れにくいのであろう。これまで何度と無く裸の本体を転落させているが、故障一つなく現在も完動している。デジタルカメラのラインアップの存在するので、当然日付記録やズームのついたモデルも発売されているはずだ。


カシオ QV-10A
数年前1万円台で安売りをしていたのを機に購入。最初のデジカメブームを作った本機は小型であるが、フラッシュが無く、室内撮影にはライティングの工夫が必要。RS-232C経由の転送もかったるく感じた。ファインダーが無く液晶が常にオンとなる仕様で、省電力技術も黎明期であったので電池の持ちが良くなかった。数度使用し、今では親父のおもちゃと化している。

カシオ QV-100
会社にあったので、数度使用した。VGAサイズの画像が取れるのなら、そこそこ使えるものと期待し、ホームページ用の素材を何度か撮影した。しかしながら満足な写真が撮れず、普通のカメラで撮影したプリントをスキャンして使用する結果に。その経験以来、全く使用する機会を失ってしまった。

京セラ DA-1
2インチフロッピーにアナログのハイバンド記録をしているので、デジカメと言うのは正確では無いかも。2年前のWindowsEXPOで本体+メディア+PC-9821シリーズ用I/F、のセットで7000円であったため、高めのジャンクを買うつもりで購入した。液晶画面が無くファインダーで撮影する本機は、まさに大昔に発売された電子スチルカメラと同じ感覚である。フラッシュを内蔵しており、QV-10Aより画素数がわずかに多いため、画質にほのかな期待があったが、QVシリーズと大差無い。バッテリーはCR123/DL123リチウム電池×2というのも気に入らないが、致命的な欠点はパソコンへのデータ転送がうまくいかなかったことである。PC-9821シリーズ用I/Fはパラレル接続であるが、筆者の所有しているPC-9821Np(486DX-75)と相性があわず、5回に1回程度の確率でしか転送が成功しなかった。しかもサスペンド状態からレジュームした後では、何故か転送が必ず失敗する。さらにパラレル接続でありながら、体感的にはQVシリーズ用の転送速度と同程度(1枚約10秒前後)と遅い。ダメモトでPC-9821用のパラレル端子(DIN-SUB25ピン)をAT用のパラレル端子に変換できるコネクターを使用し、AT互換機で読みとろうとしたが、ドライバーがカメラを認識できなかった。安物買いのナンタラの格好の例である。


購入決意への道
購入判断に至ったロジックは下記の通りで、迷うことなく「買い」の判断に至った。

メリット
・カメラとして一番重視すべきは画質であるが、PC-Watchの記事で定点撮影サンプルを拝見したところ、実用十分と判断できる画質であった。
・メディアがコンパクトフラッシュ(CF)だということ。SMART FLASHはアダプターが高価
(5000円〜)で、信頼性はCFより低いと聞く。CFは1000円前後の安価なアダプターでノートパソコン等のPCMCIAスロットで読みとれる。
・USB I/Fが標準添付され、プラグプレイで高速転送が可能である。
・新宿の大手量販店で69800円でありコストパフォーマンスに優れている。さらに初回ロ
ットには20MBのコンパクトフラッシュが添付されているので、一層の値頃感がある。
・プロ用・業務用のプロダクツを扱っているコダックのブランドイメージは良い。使い捨てカメラの件で日本メーカーと特許でもめていたことがあったし、賢い生活者につっこまれても大丈夫な製品を作っているだろうという希望的観測もアリ。
・バッテリーは単3×4本。アルカリ使用可なので、外出先の調達も容易。

デメリット
・本体がずんぐりと大きい。ただし重さは500g程度で、通常の利用には問題ない。一昔前の普及版AFカメラと同等の感じである。
・レンズキャップがしょぼい。自動でなくてもいいから、せめてスライド式シャッターにしてほしかった。

いざ購入

 早速8月上旬に新宿の量販店に出向くが、Yカメラ店ではあいにく売り切れで、隣のSカメラ店で在庫を発見。20MBのCFのおまけがついているのを確認して購入した。その際Sカメラ独自の商品保険(約3000円で3年間の修理保証)を勧められたが、よくわからなかったので断ってしまった。しかし筆者はカメラを日常持ち歩いて使いたいと考えていたので、この値段なら保険に入っても良かったとも思う。この日は20MBのCF付きの記念パック購入を急いだため、その他オプションは購入しなかった。
 余談であるが筆者の購入判断ロジックは、1に安くで、2に良いものという優先順位であることが多く、出荷間もないハードを買うことは極めて少ない。最近そのような初モノ購入をしたものはプレイステーションとヤマハのシンセサイザー CS-2x ぐらいである。通常は新モデル登場後に価格下落した旧モデル(そこそこの評判がよく、無論新モデルとの機能差が問題無いレベルであることは前提)を買うことが多い。

ファーストインプレッション

それではさっそく本体パッケージを開けてみよう。
・本体+ストラップ+レンズキャップ
・USBケーブル、シリアルケーブル、Macintosh用シリアル変換アダプタ
・説明書、ユーザー登録はがき等
・ドライバーソフトCD-ROM
・Adobe PhotoDeluxe 1.0 forビジネス、Adobe PageMill 3.0 (Windows用)
・Adobe PhotoDeluxe 2.0、Adobe PageMill 3.0 (Windows用)
・8MBCF
・20MBCF(初回キャンペーンのみ添付なので注意)

願わくは8+20ではなく、32MBのCFが付けば一層嬉しかったところ。筆者はHP200LXで既に32MBのCFを利用していた。実際は10数メガ程度しか使用していなかったので、この32MB CFをDC280Jで、20MB CFをHP200LXで使用することに決めた。32MBなら最高画質でも50枚前後は記録できるはずだ。早速HP200LX用のCFのデータを一旦ノートパソコンに吸い上げ、カ
メラ付属の20MBにコピー。添付の20MB CFはコダック純正であるが、SundiskのOEMのよう
で、HP200LXでも問題無く使用できた。32MB CFはTDK製であり、早速カメラにセット。こちらも問題無く使用できるようだ。細かい話をすればCFの電力消費なども気にすべきかもしれないが、まずはしばらく使ってみて電池寿命でトラブルが生じたら調べることにする。

ボディーは日本限定のシャンパンゴールドということで、まずまずの高級感がある。一時小物は黒が好きであったが、鞄の中で探す時などは、黒いものは探しにくい。携帯電話、眼鏡ケースなど、鞄の中につめこむものは、極力明るい色を選ぶようにしているので、このボディーカラーは気に入っている。ただしボディーはプラスチックなので、少々安っぽい感がする。レンズのふたも安っぽさを増すが、コストパフォーマンス重視の普及期価格を考えたら致し方なく、自分では妥協できる範囲である。ファインダーを覗くと、鼻頭が液晶についてしまい、アブラで汚れやすい。とりあえず透明シールを貼り付けて保護したが、できればフタが欲しかった。

液晶表示は独特のフォントで表示される。液晶の明るさはメニューでなく、本体下のダイヤルで調整できるので便利。メニューは項目名、画像処理(拡大表示や、削除など)はアイコンで示されるので、マニュアルうろ覚えでもとりあえず使える。反応速度も小気味良い。



さて肝心の画質は前述の通りPC-Watchの定点撮影記事を見て、「行ける」確信を持っていたのであるが、確かめるまではやはり不安であった。購入日は夜に帰宅したため、最初の撮影は屋内撮となりそうだ。これまでの経験上、デジカメでの室内撮影は期待はずれが多かっただけに、不安は一層つのるが。

杞憂であった。若干暗めの自室も、自室内の物体も想像以上にはっきりと撮影できる。これならパーツや小物の紹介写真も照明を意識せずに撮影できそうである。まずは後悔しない買い物ができたということでホッと一息である。

写真技術が無いため甚だ貧弱なサンプルではあるが、撮影した写真をいくつか用意したので、購入を検討している人は参考にしてほしい。sample1〜3は晴天の撮影である。sample4はかなり暗めの室内撮影である。夜間撮影などにも挑戦し、もう少し見栄えのあるサンプルを紹介していく予定である。

 サンプル
  ・ピクセルサイズは1760x1168で、最高画質の設定である。
  ・sample1は車のナンバープレート部をモザイク加工
  ・sample4は横方向を縦方向に回転してある
  ・上記以外は、画質等について一切補正を行っていない。

  sample1(屋外)293KB
  sample2(屋外)682KB
  sample3(屋外)853KB
  sample4(屋内)292KB

電池の問題
 HP200LXやCDウォークマン等で普段から単3ニッケル水素電池を使用しているのだが、使用している東芝製の充電器はいろいろ問題が多い。
・バッテリーが2本しか充電できす、しかも充電時は1本づつ充電される。
・充電が失敗や充電できてもフル充電できないことがある。
などの問題があり、インターネットでも同様のレポートをみかけた。メリットはガム型電池も充電できることと、240V対応で海外でも利用できるぐらいであるが、海外に滅多に行くこともない自分にとっては有り難みも少ない。そこで充電器も別途購入することに決める。オプションのパワーサプライキット(PSK−3)は専用アダプターと充電器、乾電池8本で、定価9800円。量販店なら2割引程度の約8000円で購入できると思われる。メーカー製の充電器とバラでニッカド水素電池を8本購入する手もあるが、単純計算でも6000円程度はかかってしまうと思われる。インターネットで調べると、モバイルユーザーのレポート等で三洋電機のトワイセル充電池、充電器が割合評価が良かった。確かに三洋電機の充電器はOEMも多いらしい。コダックも三洋のOEMだと良いのだが。

 一応購入前にメールでコダックに対し、充電器のOEM元、ついでに4本未満でも充電できるかなど数点の問い合わせてみた。しかしメーカーはお盆休の期間である。当日中に買いに行きたい旨を記入し、一応早めの回答をお願いしてみる。なんと当日中にお返事をいただけた。OEM元は証せないが、サンヨーのトワイセル充電池は充電できる旨マニュアルに書いてあるとのヒントをご丁寧に下さった。迅速な対応と誠意のある対応は、メーカーに対しての信頼感が強まる。昨今メーカー不信の話題も多い中、嬉しい気分だ。(こういう時は、筆者は一応簡単な礼状を出すようにしている。向こうも人間だ。業務のじゃまにならない程度で簡単に書けば喜んでもらえるだろう。)ついでにこちらも精一杯の対応をということで、当日パワーサプライセットを購入しに再度Sカメラ店を訪ねる。しかしあいにくパワーサプライキットは品切れだったため、予約をして帰宅。盆明けの入荷を想像していたが、これまた良い方向で機体が裏切られ、盆中に入荷の連絡が入る。DC280Jを買った際のポイント+αでパワーサプライを購入できた。
パワーサプライキットの唯一の欠点は、充電器ボックスにプラグがついておらず、アダプターと組み合わせて使用する点である。そのため充電器を携帯する際にはかさばってしまう。電池は1450mAhで、またアダプターは100V専用である。説明書に記載されている充電時間は下記の通りである。

1〜2本 約100分
3本   約150分
4本   約190分

トラブル?
 専用充電池も揃い、さあ早速活用という頃合いだが、実は筆者は思わぬトラブルに見舞われていた。撮影したJpeg写真が正常に書き込まれないことが数度発生しているのだ。ただし以下の条件である。

非純正バッテリー2種まぜて使用 TDKの32MBのCF    2回
純正バッテリー TDKの32MBのCF               1回

上記障害は共通してバッテリー残量少の表示が出ている時に発生している。コンパクトフラッシュが純正(SUNDISK)でないし、最初は充電状態が良いかわからない電池の混合使用であったので、本体が不良とは決められなかった。しかしながら純正バッテリーを使用した時も、撮影ミスになってしまうトラブルが1度起きている。まだ100枚程度しか撮影していない状況なので、上記が本当ならかなり高いレートだ。しかも撮影できたと思った写真が見られないのは重い障害である。もう少し原因が絞れれば良いのであるが、最近はエラーにお目にかかることもなくなり、もう少し様子を見てみることにする。

エラーデータのサンプル errsampl.jpg(200k)

トラブル事後報告…やはり相性か?
 永らく更新をさぼってしまったが、やはりその間もCFへの書き込みミスは度々発生した。ちなみにメディアを疑ったが、PCでスキャンディスク等を行う限りはエラーは確認できなかった。相性の問題が考えられるので、購入時添付されたSUNDISK OEMの20MBのCFに戻してみた。32MBの時は高解像度で50枚近く。標準であると150程度撮影できたが、20MBだとそれぞれ36枚前後、100枚前後となってしまう。長期の旅行だとつらいが、日常使う分にはさほど影響はないであろう。
 肝心の結果だが、やはりメーカー添付している製品だけあって、その後書き込みミスが発生していない。サンディスク社製CFについては仕様が添付されていないため定かでないが、TDK製のCFは仕様を見る限りは省電力設計で消費電力もさほど多くないそうなので、やはり相性の問題なのだろうか? CFに限らず業界のデファクトスタンダード製品は高めになりがちであるから、ついつい安めの他社製品を買うことが多いが、メディアを買う際には安定性や安心感が重要かもしれない。

もう一つの問題…転送ユーティリティーが!
 DC280Jでとかく気になるのが本体の大きさであるが、これは購入当時はコストパフォーマンスを重視したため覚悟していた問題である。しかし使用しているうちに何気なく使用していた転送ユーティリティーに実は大きな問題が潜んでいた。カメラは専用ケーブルでPCとUSB接続が可能で、専用ユーティリティーのインストール後はカメラのドライブにエクスプローラーからアクセスできるようになる。一つのメディアとしてアクセスできるのであるが、

・読み取り・削除専用で書き込みできない。
・ファイルのコピーや移動を行うと、転送先のファイルは操作を行った日時になってしまう。

という仕様が大変気に入らない。前者は書き込みができれば、CFリーダーとしても使えるわけで、DC280Jのコストパフォーマンスが一層上がったのだが、やはり余計なトラブル発生源は回避という姿勢か。しかし後者の日付の問題はユーザーに大きな不便を与える。筆者はファイルの日付から判断し、内容毎にフォルダーに分けて管理しているのだが、転送後はそれが難しくなってしまう。転送後デジカメで記録されたJpegファイルには、Exif情報という撮影関連データが付加されているのでこちらで日付を確認することができることは知っている。たしかこの情報を元に日付を振り直すソフトもあったと記憶しているが、やはり面倒くさい。専用ユーティリティーを使わず、直接CFを専用リーダーやノートPC等でアクセスした場合は、通常通りファイルの作成日付を変えないでコピー、移動できる。一応コダックに当件についてメールで改善の可能性があるか確認してみたが、DC120Zoom以来の仕様とのことで改善の予定は無いとのことだ。しかしそれ以上残念だったのは、HP上で問い合わせメールを送っても一ヶ月近く音沙汰無し、再度メールをして催促をしてようやく返事が来たという対応の悪さであった。購入前に添付充電池について問い合わせをした時は即座に回答をいただけたので日本コダックに対して大変好感をもったが…こんなにも変わってしまったのか。



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